しっぽり、ホタルイカと蕎麦屋の夜｜ゆかり／ADEEJO～アデージョ～（池袋）

月曜の夜。

外はすっかり初夏の気配。

暑いのに、心はなんとなく

“しっとりしたい”気分だった。

向かったのは、
前から気になってた蕎麦屋。

のれんをくぐると、

静かな時間が流れてて、
いい意味で、誰も急いでない。

頼んだのは、

ほたるいかの酢味噌和え。

皿の上に並ぶ小さな命。
つややかで、肝の香りが
ふわりと鼻を抜ける。

わかめはしゃっきり、
大葉とパセリは名脇役。

そして、そば湯割り。

ポットの赤、器の白。

酒がじんわり、

体に染みていく感じが

たまらない。

暑き夜
ほたるいか喰らい

酒しみる

俳句なんて柄じゃないけど、

つい一句詠みたくなる夜だった。

家で飲もうか、蕎麦屋で我慢しようか。

悩んで、寄り道して、
正解だったなって思える夜。

冷たい風がそっと吹いた帰り道、

ああ、この感じを

忘れたくないなと思った。