ちょっと短編小説♡第二夜｜うた／人妻密会

ちょっと短編小説♡第二夜

2025/05/10 (土) 15:00:03

 ― 第二夜：背徳の温度 ―

それは現実の中の夢のようだった。
絵里子は目を覚ますとまだ見慣れぬ天井がそこにあった。

カーテンの隙間から漏れる

朝の光が、
昨夜の行為を静かに照らす。

ベッドの隣には直人が寝息を立てている。
彼の裸の背中に、絵里子はそっと

指先を伸ばした。
ぬくもりがまだ指先に残っている。

「……罪よね、これって」

小さく呟いたその声に

応えるように、
直人の瞳がゆっくりと開いた。

「でも、嘘じゃなかったでしょ？

俺の気持ちも、あなたの震えも。」

絵里子は言葉を飲み込んだまま、

布団を引き寄せた。

頭では否定しても、体は昨夜の記憶を求めていた。

「帰らないと。夫が起きる頃だわ」

「……帰りたくないって顔してる」

直人はそう言って笑い、

起き上がる。
手を伸ばし、絵里子の背中を

そっと撫でる。

その指の温度が心の奥まで

忍び込む。

つづく