夏休み?読書備忘録vol.4｜吉沢／グッドワイフ

「BUTTER」
柚木麻子

刊行当時より最近になって海外で評価され
注目を集めている小説です。


首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗被告
をモチーフにした作品で、とても面白かった！

先日読んだ「ババガヤの夜」に比べると
導入部が中々入り込みにくく、
表現も純文学的な感じなのですが
中盤から話の展開が早まり
どんどん引き込まれていきました。

ラストは子供たちに邪魔されながらも😂
一気に完読！


木嶋佳苗被告(文中では梶井真奈子)がなぜあれだけ世間の注目を集めたのか？と言えば

「若くも美しくもない、ふくよかな容姿」の婚活詐欺師だったからであって、
もしこれが見目麗しい女性だったら
ここまで男性も女性も興味を持たなかったであろう、というのは正直よく理解できます。

もちろんこれはフィクションなので
あくまで「梶井真奈子」の事件の
深層をえぐっていくのですが、
かなり木嶋早苗被告の事件の流れと
合わせて書かれています。
(幼少期、獄中結婚などまで)

強いルッキズム
ジェンダー問題

私自身、心がえぐられる部分もあり
男性もまた別視点でえぐられてしまうような
そんな作品かもしれません。

主人公である週刊誌の女性記者が
梶井真奈子にインタビューをしていくうちに、自分というものの根底が揺らぎ変化していき、その親友や恋人、周囲の人々にもまた影響を与えてゆく。


現代の女性の生きにくさや違和感が
うまく掘り下げられていて

物語のテーマとしては、
それによる喪失と
シスターフッド(女性同志による強い結びつき)による再生、
という感じかなと思いました。

ただ、「ババガヤの夜」もまさに
シスターフッドの物語だったので
強めのフェミニズムに少しお腹一杯です笑


なかなか強い社会的メッセージ性がある作品ですが、最終的には救いのある物語なので、興味が湧いた方には
是非読んでほしいなぁと思いました✨

オススメ度⭐️⭐️⭐️


ちなみに「BUTTER」の名前通り
キーになるのがバターで
文中たくさんの料理が出てきますが
料理の描写が緻密で濃厚で...
実在するレストランやケーキなど
これは食べてみたい！行ってみよう！
と思っちゃいます☺️
食いしん坊の人はそういう部分でも
楽しめるかと😆