『熊改名時代』｜藤沢／グッドワイフ

── ふと思った夜のひとコマ。

最近クマが町まで降りてくる。
ニュースを眺めながら
「また出たのね」と思っていたけれど、
よく考えれば、これも時代のひずみなのかもしれない。

熊に大切な人を奪われたら。
もし自分がその爪に触れられてしまったら。
理屈より先に、感情のほうが
ぐらりと世界の見え方を変えてしまいそうだ。

そうなると、かわいい“クマのキャラクター”まで
心のブラックリストに入れてしまうのだろうか。

※なお、クマに関する描写は
　ぬいぐるみやキャラクターを含め
一部の方に“拒否反応”を引き起こす可能性があります。
（まさかのトリガー対象：テディ、プーさん、クマモン…ごめんね。）

世の中って、こういう理不尽だけ妙に手際がいい。
しかも今は、何でもコンプラの時代。
そのうち本気で
「クマのキャラクターは誤解を招く恐れがあります」
なんて通達が出たりして。

そうなったら、
クマダヨーコもクマダマサシも、
“クマ”の部分をそっと改名する日が来るのかもしれない。
滑稽だけど、どこか笑いきれない未来だ。

本当は、クマが悪いわけじゃない。
ただ、人と生きる場所が少しだけ重なっただけ。

それでも感情は、ときどき、
見当違いのものへ噛みついてしまうものだなと思う。

…人もクマも、
そのあたりは案外似ているのかもしれない。
そんなことを思った。

 

藤沢🧸