内田あおい
品格とエロス!極上美爆乳美女 SS
好きが先、理屈は後。国家は千年、任期は有限。
2026/10/21 (水) 05:31:30

昨日、福田恆存の文章を読んでいて、思わず笑ってしまった。
恆存はゴルバチョフが好きだったらしい。
しかも、好きになった理由について、こう書いている。
「勿論、好きが先で、彼が言ったり、したりした事の方は後である。」
まことに結構である。
偉大な思想家ともなれば、人物への好意にも立派な思想的根拠があるのかと思いきや、順序は至って普通だった。
まず好きになる。
理屈は後からやって来る。
実は私も、以前の日記に書いたことがある。
プーチンが好きだ。
理屈抜きで好きなのである。
もっとも、好きだからといって、彼のすることまで何でも正しいと思うほど親切な頭は持ち合わせていない。
恆存がゴルバチョフの行く末を案じていたように、私もプーチンについて考える。
ロシアを立て直そうとした人物が、今なおロシアのために権力を握り続ける必要があるのだろうか。
場合によっては、退くことこそがロシアのためになるのではないか。
そもそも、彼は何を守ろうとしているのか。
気になったので、少々調べ始めた。
まず、生い立ちまで遡ってみる。
プーチンが生まれたのは1952年、戦後のレニングラードである。
両親は独ソ戦を生き延び、兄はレニングラード包囲戦の時期に亡くなっている。
彼が育ったのは、戦争の記憶がまだ生活の中に残るソ連だった。
やがてKGBに入り、1980年代には東ドイツのドレスデンに赴任する。
そして1989年、東ドイツの体制が崩れていく現場に居合わせた。
昨日まで存在していた国家の秩序が、目の前で失われていく。
その後、帰国した彼を待っていたのは、今度は祖国ソ連そのものの解体だった。
もちろん、こうした経験だけで彼の国家観を説明できるわけではない。
ただ、国家が崩れるという出来事を、彼は遠くから眺めていただけではなかった。
では、その後、彼は何を語ってきたのか。
1999年、プーチンはロシアの再建には強い国家権力が必要だと論じている。
当時のロシアは、ソ連崩壊後の政治的・経済的混乱の中にあった。
国家が弱ければ、国民の生活も守れない。
その考えには、一定の筋道がある。
だが、国家を強くすることと、権力を集中させることは同じではない。
ここは少々、注意して眺める必要がありそうだ。
さらに2012年、彼はロシアの歴史が1917年にも1991年にも始まったわけではなく、千年にわたって続いていると語った。
帝政ロシア、ソ連、ロシア連邦。
政治体制が変わっても、ロシアという歴史的な共同体は続いている。
彼が守ろうとしているのは、単なる現在の政治体制ではなく、この連続性なのかもしれない。
そう考えると、ソ連崩壊を地政学的な惨事と呼んだことにも、一つの説明がつく。
失われたのは共産主義体制だけではない。
国家の統一、国際的な地位、人々の生活、そして国境によって分断された共同体。
ロシアが弱くなることと、ロシアがロシアでなくなることは、彼の国家観では切り離せないのかもしれない。
しかし、ここからが厄介である。
国家と国民を一体と考えるなら、国民の意思はどこに置かれるのか。
共通の歴史を持つことと、同じ国家に属さなければならないことは、別の話である。
歴史は長い。
しかし、歴史そのものが投票所に出向いてくれるわけではない。
そして、もう一つ。
国家の継続性を重視することと、同じ人物が権力を持ち続けることも同義ではない。
2008年、プーチンは大統領を退任した。
ただし、政治の中心から退いたわけではない。
首相となり、2012年には大統領に復帰した。
千年の歴史を持つ国家が、一人の人間の退職によって存続を危ぶまれるとしたら、なかなか心細い話である。
ロシアを守ろうとしているのか。
自分が考えるロシアの姿を守ろうとしているのか。
そして、その二つが、いつの間にか重なってはいないだろうか。
もちろん、彼自身の内心については、まだ分からない。
だからこそ、発言だけでなく、その時々の行動も追ってみたい。
私はプーチンが好きである。
だが、好きな人物について考えることと、その人物を正当化することは違う。
むしろ、好きだからこそ、何をしているのかを知りたい。
恆存もゴルバチョフが好きだった。
ただし、好きであることと、政治的な行く末を楽観することは別だったらしい。
どうやら、好きな人物を無条件に肯定しなければならないという決まりは、少なくとも恆存の時代にはなかったようである。
さて。
恆存の文壇デビューを追いかけていたはずが、今度はプーチンの国家観を調べ始め、ついには帝政ロシアまで遡ってしまった。
研究対象は増える一方である。
所属なし。学位なし。研究費は全額自腹。
あるのは好奇心と、増え続ける資料だけ。
好きという感情には理屈が要らないが、出費には少々必要である。
もっとも、今のところ一度も説明に成功していない。
大宮研究所、本日も財政的にはソ連末期である。
恆存を読んでいたら帝政ロシアまで連れていかれるとは。
国会図書館の複写代より先に、研究所の財政再建計画が必要かもしれない。
もっとも、研究対象がプーチンである。
財政再建まで彼に任せるようになったら、いよいよ研究と信奉の区別がつかなくなる。
大宮研究所、財政難につき独裁者の招聘は見送ることとする。
お店情報
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