(8)乳首の荒れは、職業病。
シリーズ連載「風俗業界、転がってみました。」
二十代の大半を、東京の風俗業界で過ごした元風俗嬢。ナイトワーカーとしての半生をまとめた人気シリーズ連載。思慮深く、洞察に富んだ性格で風俗嬢ライフをさわやかに駆け抜ける。
❑前回までの話し
第47話「デリヘル嬢の裏側」デリヘル嬢とお風呂であそぼう!
http://www.jukujo-fuzoku-joho.com/column/6739
少しの期間ライブチャットの世界を離れており、数ヶ月ぶりにお仕事を再開した時のことです。
ライブチャットの裏側・・・そこにあるのは現実だけ。
「可愛いくてちょっとエッチな女の子たちが、笑顔で俺を待っている・・・!」
ライブチャットの運営陣やパフォーマーたちはお金を払ってくださるお客様のために、そんな幻想じみた表舞台をいつでも用意していなくてはいけません。
ですが、ひとたび裏側に入ればそこはストレスの嵐。
ライブチャット嬢にとって幻想など皆無、そこにあるのはお客様を獲得できなければ無駄な時間が過ぎてゆくのみという温度のない現実だけ。
さらに店舗や事務所をかまえている風俗店とは違い、わたしが吐き出す下らない愚痴を聞いてくれる内勤スタッフもいません。
行き場のないモヤモヤを抱えながらもライブチャットのお仕事を再開したわたしのストレスは、いよいよマックスに近付いてまいります。
いつの時代も存在する、連絡先クレクレ君。
時代の移り変わりにより、わたしたちの連絡手段は日に日に手軽で便利なものになってきていますね。
昔であれば電話番号やメールアドレスが主流でしたが、この頃ではskypeやLINE IDを交換すればすぐにメッセージのやり取りが出来ます。
いくら連絡手段が移り変わろうが、連絡先クレクレ君の存在は今も昔も変わりませんね。
「エッチな子だね・・・リアルでセフレにならない?僕の連絡先教えるから、LINEちょうだい。」
と、ご自身のLINE IDをチャットの文字に乗せ、颯爽と回線落ちしてゆく殿方。
リアルでセフレ、というのはもちろん現実に会ってエッチをしましょうというお誘いです。
ライブチャットサイトを介しての交流は、お客様からしてみればそれなりにお金がかかります。
女の子を引っ掛けるのになるべくコストを抑えたいという気持ちも分からなくはありません。
だけど、そんな殿方にはこう問いたい。
わたしが今ここであなたとニコニコお話している理由って、何だと思います?
本当はシビアです。
ライブチャット嬢であるわたしは、お金を稼ぐためだけにあなた好みの「エッチな子」を演じているのです。
もしセフレを探していたとしてもあなたより上手なやり方を知っているし、そのような不毛なやり方にお付き合いできるほど暇でもありません。
これはあくまでわたしが思っていることですので一概には申し上げられませんが、少なくともわたしは直接やり取りができるご連絡先をいただいても100%返信いたしません。
ライブチャットのお客様と再び交流して改めて感じたのは、ヘルスやピンサロなどの実店舗に足を運ぶお客様よりも相当メルヘンチックな思考をお持ちである場合が多いこと。
コスい。やり方が、コス過ぎるのです。
コスいゆえに可愛気のカケラも感じられない殿方とは、セフレはおろか人間としての興味すら抱けないものなのであります。
「寝言は寝てから言っていただきたいものだ!」と、連絡先クレクレ君をはじめとするメルヘンチックなお客様には相変わらず辟易するわたしでございました。
文|カサイユウ(ライター・元風俗嬢)
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